理事長メッセージ

新理事会の発足にあたって

 

 日頃よりの学会へのご協力に感謝申し上げます。

 去る7月17日に九州大学で開催された総会において、理事長の職を拝命いたしました平井でございます。さらに学会終了後の臨時総会において新たな理事・監事についての承認も得ることができ、新たな理事体制がスタートいたしました。

 本学会の運営につきましては、浅野善治前理事長を中心とした前理事の方々のご尽力により、ようやく軌道に乗ってきたところであります。これまでの積み重ねを無駄にすることなく、学会の一層の発展に向けて微力ながら尽力させていただく所存でございます。

 ご承知の通り、現在もなお新型コロナウイルス感染症の問題は、日本のみならず世界全体に重くのしかかっています。そして、この未曾有の問題に直面して、政治はどうすればよいのか、政治には何ができるのか、政治が果たすべきことは何かなど、あらゆる面から政治のあり方が問われています。日本においては、1990年代以降の政治改革を通して進められてきた「政治主導」体制が、危機に対して意外な脆さを露呈したように思われます。通算でも連続でも歴代最長在任記録を塗り替えた安倍首相が突然辞任し、その安倍政権を官房長官として切り盛りし、高支持率の下で後継内閣をスタートさせた菅首相が、わずか1年後には総裁選不出馬を表明しました。ここにきて日本の政治は、大きな変動の季節に突入しているかのようです。

 新型コロナウイルス感染症問題はまた、地方政治の重要性をクローズアップしました。最前線の保健医療業務を取り仕切るのは地方自治体ですし、ワクチン接種にせよ、休業要請や様々な助成措置・支援措置にせよ、地方自治体が担う役割の大きさを改めて感じることになりました。さらに、新型コロナ感染症対策の一環として広がりつつあるテレワークの拡大や人びとの行動様式の変化が、これまでの東京一極集中から地方分散への転機になるかもしれないとの指摘もなされています。まだまだ先は見通せない現状ですが、地方政治・地域政治の重要性は今後ますます高まっていくものと思われます。

 本学会は、どちらかと言うとこじんまりとした学会ですが、地方政治及び地域政治を研究対象とする研究者と実務家が集うユニークな学会です。若手の研究者の方々が活躍できる場を積極的に提供するとともに、現在の政治的な諸課題をめぐって活発な学問的議論を交わし、会員の皆さまが知的刺激を受けつつ相互に切磋琢磨できる機会を作っていきたいと考えております。今後とも、会員の皆さまのご理解、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。

 

          2021年9月 日本地方政治学会・日本地域政治学会

                        理事長 平井 一臣